ブランドとは何か。この問いに対して明確な答えを用意している人は多くないだろう。しかし皆、「大体こうだろう」というイメージは持っているはずだ。本記事ではブランドについての基礎知識を二つの項目で紹介し、なるべく平易な文を以ってこの号全体の理解力向上を図る。
Pascul第8号を読むことで、読者がより良いブランドとの付き合い方を見つけるきっかけとなることを望む。
ブランド【brand】(焼印の意)商標。銘柄。特に、名の通った銘柄。「―商品」広辞苑 第六版
ブランド(英 : brand)とは、ある財・サービスを、他の同カテゴリーの財やサービスと区別するためのあらゆる概念。当該財サービス(それらに関してのあらゆる情報発信点を含む)と消費者の接触点(タッチポイントまたはコンタクトポイント)で接する当該財サービスのあらゆる角度からの情報と、それらを伝達するメディア特性、消費者の経験、意思思想なども加味され、結果として消費者の中で当該財サービスに対して出来上がるイメージ総体。Wikipediaより
ブランド(brand)銘もしくは銘柄のこと。かつては焼き印(ブランド)などを利用して自社製品の表示を行っていたため、その名があるという。しかし、今日では特定企業の特定の商品なりサービスなりを示す名称やマークをいうようになった。したがって各企業は、それぞれ独自のブランド政策を考え、商品群の特性によって、ファミリーブランドやインディビジュアルブランドを適宜使い分け、消費者に対しては、自社製品のブランドロイヤリティを高めるとともに、他社製品からのブランドスイッチを促すような PR 活動を行なっている。©2009 Britannica Japan Co.,Ltd / Encyclopedia Britannica, Inc.
1. ブランドの定義-definition-
「ブランド」という言葉への印象を羅列すると、「高級品」「高級品を提供する会社」「利用者・所持者の格が上がる品物やサービス」あたりが挙がるだろう。
誰しもが知っているであろうLVの頭文字のバッグとか、赤い馬の高級車とか、齧られた林檎とかシアトルからやってきた緑のウェーブ女だとかのあれである。恐らくブランドという単語を見てすぐにこれらのイメージが浮かんでくる方も少なくないだろう。
ここではまず、ブランドの定義から確認していこう。分かりやすいのはブリタニカ国際大百科事典のブランドの記述だ。
要約すると、
I.元々は家畜の所有権を示す「ブランド(brand)=焼印」の意味だった。
II.転じて、製品の製造元を示す焼印をブランドと呼ぶことになる。
III.それが更に転じて、「ブランド=企業の個性や特性」を示す言葉になった。
ということである。
簡潔に言うと、ブランドとは、「ある品物・サービスと消費者の間に存在するありとあらゆる要素」によって左右される、「消費者の中」でその「品物・サービスに対して出来上がるイメージ」である。
「あのバッグは有名人が持っているバッグだ」
「この会社の車は相変わらずどれほど酷使しても全く壊れない」
「ドヤ顔マ◌○ス○○ ゙は、これをすべきでない」
「あいつこういってた」「俺は信じる」「みんな使ってる」
等々、ありとあらゆる情報がブランドを構成するのである。
つまりブランドとは、品物やサービス、企業の価値だけでなく、イメージをも指す言葉なのである。ここまで読んだ方ならお分かり頂けるであろう。「ブランドとは何か」、この問いにはっきりとした答えを述べるのは難しい。
2. 我々とブランドの関わり-relationship-
車に全く興味の無い人でも名前だけは知っているだろう、「赤い皇帝」ことマイケル・シューマッハが来日した際、彼は新幹線の荷物棚を見ながらこう述べた。
「日本ではルイ・ヴィトンって安売りされてるの?」
こんな発言が飛び出すほど、本当に日本人はかのブランドを好む。余りにも生息数が多すぎて、最早本当にブランド物なのかすら疑わしい。
とにかく日本でブランド物というと、あの茶色のバッグのイメージが強烈だ。何故このような状況が発生したのだろうか? それを知るには、まずルイ・ヴィトンの戦略から見ていくのが早いだろう。スーツケース職人から始まった150年もの歴史を誇るルイ・ヴィトンは、2010年には約25億ユーロもの売り上げを記録した。 下の表を見ると、ルイ・ヴィトンは徹底的な戦略によりブランドの価値を守っていることが分かる。
ルイ・ヴィトンのブランド戦略(ブランディング)
I.コストパフォーマンスよりも質を優先
II.偽造品に対する様々な対策
III.低価格商品を提供せず、セカンドラインを持たない
IV. ライセンス生産を行わない=LVのロゴは全てLVによる製品V. 商品を戦略的に生産中止し、各商品の流通量を抑える=街中で同種類の商品が出会わないようにする
VI.バーゲンセールスをしない
VII. プロモーションよりパブリシティ重視=CMを流さない
IX. アウトレット(質には問題無いが本来は流通せず廃棄される物)を発生させない
X.ニーズ調査を行わないこの後の記事には、ここでは紹介していない「ブランド」も登場する。その前に、次は一人の大学生の話を取り上げ、「我々とブランドの関わり」をより詳しく見ていこう。
このような徹底的な戦略が敷かれているにもかかわらず、何故日本では、ごく普通の高校生ですらルイ・ヴィトン製品を持っているのだろうか。ここに、ヨーロッパと日本におけるブランドに対する思想の違いがある。
前者はブランドに対して「身分相応であること」「全体のバランス」「質の良い物を長く使う」を重視するのに対して、後者は「ブランドを持っていること自体がステータス」「皆が持っている物を持つという集団意識」という考えがある。
結果として日本においてブランドが持つスペシャリティは薄れてしまっているのである。
まとめ
・ブランドとは 「消費者のイメージ」、 そして 「商品・サービスの個性」 である。
・「ブランド」 には心理的・経済的の他、 ありとあらゆる要素が絡む。
この後の記事には、ここでは紹介していない「ブランド」も登場する。その前に、次は一人の大学生の話を取り上げ、「我々とブランドの関わり」をより詳しく見ていこう。
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