私達は多くのブランド商品に囲まれて生活している。コカコーラ、アイフォン、ポッキー、ルイヴィトン、挙げればキリがない。これらは名前さえ聞けばどんなものか容易く想像できる。こんなにも私達の生活に溶け込んだのは、商品のクオリティーの高さが一番の理由であろう。
しかし様々な商品が溢れる昨今、良い商品を創りだしたとしてもそれが大ヒットしたり、ましてやブランドと言われるほど普及することはほとんどない。
ではブランド商品と言われるものはどのようにして知名度をあげていったのだろうか? そこには他のヒットしなかった商品にはない画期的な戦略があるのではないだろうか。
そこでスターバックスとハーゲンダッツ、この2つのブランドがどうやって確立されたのかを、
①コンセプト
②ターゲット
③実際の戦略
という視点から説明していく。
【1】スターバックス
・コンセプト
スターバックスの基本コンセプトは「サードプレイス(第三の場所)」である。これは「商品は”コーヒー”だけではなく、”スタバでの体験”でもある。商品の対価に体験の対価を加えた金額をもらっている」ということを意識したコンセプトなのであろう。
・ターゲット
スターバックスは、日本進出当初、顧客の利用場面を以下の5つに設定し、これらに当てはまる顧客を中心とした戦略を繰り広げていったそうだ。
・朝の儀式とも言える日課の一部
・友人や家族と過ごす場
・ビジネスマンが仕事の延長で気軽に交流を深められる場
・自分へのご褒美としておいしいドリンクを求める場
・煩わしい雑事から逃れ、リラックスするひとときの場
・実際の戦略
1.テレビCMを流さない
スターバックスのテレビCMを観たことがある人はいるだろうか。いないはずだ。なぜならスターバックスはテレビCMをブランド毀損の原因の一つと考えているからだ。
スターバックスは、事業内容に正面から向き合って取り組み続けることが、人々への浸透ひいてはブランド形成につながると考え、ブランドを伝える一番の手段は店舗であるとし、店舗のクオリティーの高さに重きを置いている。テレビCMにかける分の資金を、店舗の向上に投入しているのだ。
2.値段を変えない
スターバックスは顧客を増やすために一般的に行われるような戦術は一切使わない。というのも値引きなどの戦略は、一番安い価格を提供している間にしか効果を持たない。他社がもっと安い価格を打ち出した途端、それまでの顧客は、他の店のコーヒーを買うようになる。また、価格を下げることは、自社の商品にその価格に見合った価値が無いと自ら認めることになるからだ。
3.店内の雰囲気
コンセプト「サードプレイス」からわかるようにスターバックスは店内の雰囲気を重要視している。店内は全面禁煙はもちろんのこと、コーヒー豆はコーヒースペシャリストによって選び抜かれた豆のみを使用。また店舗内のインテリアはすべてシアトルの本社で揃えたものである徹底ぶり。それだけではなく、人材教育にも力を入れ、店員と顧客との対話の中にさえ、スターバックスの価値を提供しようとしているのだ。
・まとめ
スターバックス スターバックスの凄さは、店内の雰囲気といった細かいところに気を配る一方で、テレビCMを流さない大胆な戦略でコーヒーを安くしなくても売れるという状態を作りだしたところである。
こうしてスターバックスは、カフェ業界の中で不動の地位を手に入れたのだ。
【2】ハーゲンダッツ
・コンセプト
ハーゲンダッツのコンセプトは「大人のデザート」である。 ハーゲンダッツが市場参入した時、まだまだ「アイスクリームは子供や一部の女性のもの」というイメージが根強かった。そのため、甘いものを好む大人の男女を対象とする商品は皆無だった。ハーゲンダッツは「子供のおやつ」と考えられていたアイスクリームに「都会的な大人のデザート」という新しい価値を付加したのだ。
・ターゲット
ハーゲンダッツが対象として想定する相手は、三十歳前後の優雅で洗練された女性だという。実際には、女子高生から年配の男性まで幅広いファンがいる。しかし、実際のファンに擦り寄ることはせず、女子高生には『あなたたちにはまだ早いよ』と言い続けながら憧れを育てる......という戦略をとっているのだ。
・実際の戦略
1.素材へのこだわり
ハーゲンダッツでは乳化剤や安定剤は使わず、卵や牛乳といった「家庭にある身近な素材」を使うことを基本にしている。また牛乳は、毎日土壌の成分チェックが行われている指定牧場のものを使い、新規の材料を採用するときには、世界中から原産地を選び抜き、担当者が必ず生産現場に出向かうというこだわりを持っている。
2.徹底的な品質管理
乳化剤や安定剤を使用していないハーゲンダッツは温度変化の影響を受けやすいため、倉庫や運搬時、店舗に至るまで温度管理を徹底している。
3.「大人」向けのPR戦略
ハーゲンダッツは、大人の男女を購入層として訴求できるようなイメージ戦略を打ち出した。「Shall we ハーゲンダッツ?」というフレーズが印象的なCMは日本で大ヒットし、ターゲットとする大人の男女に鮮烈な記憶をとどめさせることに成功した。 また商品展開の上でも購入層にあわせて企画し、ひとりで食べきれる小さなサイズで、価格もコーヒー1杯分程度に設定した。
・まとめ
こうしたブランドをつくりあげるトータル戦略が功を奏し、「少し贅沢に味わう至福のデザート」という地位を確立させたハーゲンダッツ。 しかしハーゲンダッツはその地位に甘んじていない。
2000年からは従来のアイスクリームの概念を覆す新たなカテゴリーの開発にも挑戦し、「クリスピーサンド」や「パルフェ」を商品化している。
話題を欠かさず、着実に結果を出して成長し続ける。それが、ハーゲンダッツの最良のブランド戦略なのかもしれない。
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