コンフォータブル(6)2016.04.08 01:23 ぬめぬめとしたそのコバルトブルーが波の上の空を覆い尽くした頃、岩礁にその身をさらす白波を、どう塗り直すかについて、僕は頭を悩ませていた。幾日も白い絵の具を重ねたその波の部分は、ところどころが波の飛沫の方向に沿って盛り上がっている。そのすべてが、この絵を描いていた歳月を自分に思い...
コンフォータブル(5)2016.04.06 02:03 僕は何も言わずに教室を出て廊下へと走った。これ以上寺島とは目を合わせたくなかったし、そもそもそんな権利を与えられていない気がした。だから寺島がどういう風にその時の僕を見ていたのかわからないが、廊下を出てふと振り返るとさすがに僕の後をついてきてはいなかった。手持無沙汰になってしま...
大2病の春がきた2016.04.05 05:00こんにちはー!遂に四月になって、新歓も始まりましたね。大学に色とりどりのウィンブレやパーカーを着た2回生(もしくはもっと上回生、院生も実はいるのかもしれないが)が溢れているのを見ると、自分たちのサークルの時のことを思い出します。ホントに疑問なんだけど、サークルの2回生(マネジメン...
コンフォータブル(4)2016.04.04 14:05 絵筆を持った指先に力が入り、パレットの上で絵筆の毛先が開いて、青の絵の具と油をたっぷり含んでいく。そのまま、絵筆に含ませたどろどろの青を、白波の上に浮かぶ空の表面にゆっくりと重ねる。油をいっぱいにまとわせて、その青い絵の具はその絵に再び輝きをもたらしていく。 油絵はその重厚感に...
コンフォータブル(3)2016.04.02 13:14 高校に入って最初の文化祭の時、僕はその油絵を美術室の隅に展示した。僕は寺島が来るかと思って文化祭の間中、美術室で留守番をしていたが、寺島は僕がまた絵を描きはじめたことに対して昔ほどの興味もないようで、結局僕の絵を見に来ることはなかった。後から聞いた話だと寺島は文化祭の日はすべて...
コンフォータブル(2)2016.04.01 12:37 僕は美術室の後ろに立つ、錆びた掃除用具入れのようなロッカーの前に向かう。ロッカーを開けると中から油と絵の具のにおいがツン、と鼻をさす。けれど、このにおいもしばらくして空気中に広がりきってしまえば、どこか心地よいにおいへと変わっていく。 ロッカーの中から、絵の具と油、パレットと絵...
明るい、エモい、ハーモニい2016.03.31 01:09こんにちは!今日は3月31日、「多くの人にとっての切ない旅立ちや別れの日」ということで、毎年思い出してしまうエモい曲を紹介します。『harmonized finale』UNISON SQUARE GARDEN
コンフォータブル(1)2016.03.30 16:29 授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。と同時に、朝からぐんぐんとふくらんで今にも張り裂けそうになっていた教室の閉塞感がぷしゅう、と空気が抜けた風船みたいにしぼんでいった。たった今まで、僕の目の前にはマッチ棒みたいな黒い頭が等間隔にいくつも並んでいたのに、間延びしたチャイムの音...
【ご報告】来学期以降のパスカルについて2016.03.27 04:32お久しぶりです。パスカルです。来季以降の活動についてです。この度多くのメンバーが晴れて卒業すること、一部メンバーが桂にお引越しをすることを受けて、今後の紙媒体による継続的な活動が困難となりました。それに伴い春号、夏号の発行は未定となります。思い返すと4年間で13冊を発行しましたが...
かぐや姫の秘密2015.11.19 14:54かぐや姫はなぜ子安貝を求めたのか 世界中には古代から伝わる多くの物語(神話)があります。しかも周りの世界に対して動物や植物の生態や分類について集積された膨大な知識がその背後に潜んでいます。そして特有の論理がその物語の中に通底しているのです。この記事では「かぐや姫」を扱い...
リア充ってかいつまんで言えば、ゴリラ同然 2015.11.18 14:54「いや、全然違うよ」このタイトルを見たおそらく大半の人がそう思われるのではないでしょうか。小奇麗な格好をして四六時中友達を侍らせ青春を謳歌するリア充と、全身の体毛で暖を取って群れを作りジャングルでの日常を生き抜くゴリラ。見た目や知性、習慣に加えて生息地、さらに言えば生物学的区分も...
京都へのラブレター2015.11.17 14:54拝啓、京都さま。 はじめてお手紙差し上げます。 わたくしは京都大学に在籍している者で、もうすぐ卒業を控えた身になっております。 あなたさま――私たちが「京都」と呼んでいる街そのもの――にお手紙を差し上げる日が来ようとは露ほども思わず。こうして筆を...