くまモンという地域ブランド戦略

熊本県と言えば、何を想像するだろうか? 


阿蘇、カルデラ、熊(?)――


一昔前ならこのような答えだったかもしれない。しかし今では多くの人が思い浮かべるものがあるだろう。そう、くまモンだ。


ご存じの通り、くまモンは熊本県のキャラクターである、2 0 1 1年にはゆるキャラグランプリでトップに輝き、様々なメディアに取り上げられ、くまモンが描かれた商品もよく目にする。


しかし、今でこそ「熊本県といえばくまモン」 「くまモンと言えば熊本県」とくまモンは知名度のある存在だが、目にするようになったのはここ数年だ。くまモンはなぜここまでの人気を博するようになったのだろうか?


そんなくまモンの出自(?)と、熊本県の知られざる戦略にスポットを当ててみよう。 


○くまモン Profile○ 
出身:熊本県 
誕生日:3月12日 
性別:男の子! 
年齢:ヒミツ
性格:やんちゃで好奇心いっぱい     
仕事:いちおう公務員



くまモンの誕生

くまモンを生み出したのは、熊本県庁の「チームくまモン」と呼ばれる人々だ。熊本県の中には、 ある懸案事項があった。平成23年3月12日の九州新幹線の全線開通だ。


もちろん関西圏から3時間足らずで九州に到着するのは大歓迎。しかし九州新幹線の終着点は鹿児島であり、途中駅である熊本が素通りされてしまう恐れがあったのだ。 


「熊本にもすばらしい、魅力的なところがいっぱいあるんだ!」

ということアピールし、なんとか観光客を呼び込みたい。 


そこで考え出された戦略が熊本県を積極的にPR していく「くまもとサプライズ」であった。そしてくまもとサプライズの「おまけ」として作られたのがくまモンだった。


おまけとして生み出されたくまモンどうしてここまでブレイクしたのか。


そこには、あっと驚くような戦略が存在したのだ。



熊本をアピールしないくまモン

チームくまモンの面々が目を付けたのは大阪であった。熊本のキャラクターなのに大阪で活動し、しかも熊本を積極的に押し出していかなかったのだ。


実はこれがチームくまモンの作戦であった。初めからぐいぐい熊本をアピールしていっても、逆に引かれてしまう。そこでまずくまモン自身が話題を集め、知名度が出てきたところでくまモンから熊本へと誘導する。 


そのために様々なイベントに顔を出したり、くまモンの名刺を作って配ったり、「くまモンの存在」をアピールしたのだ。 


ここで大きなカギを握るのがメディア戦略である。くまモンは甲子園球場に広告を出した以外、ほとんど自ら広報媒体を利用しなかった。 


出現情報を流したり、ファンと交流するなどSNSを積極的に活用したり、大胆なパフォーマンスでメディアに「取り上げてもらう」ことを重視した。低予算に抑える工夫をしていたのだ。



県ナンバー3のくまモン

くまモンは熊本県の「営業部長」である。部長という肩書は、熊本県庁では知事、副知事に次ぐ3番目の役職だ。 


ふざけているわけでも、かりそめの役職というわけでもない。もちろん話題性という側面もあったが、部長という肩書を持つことで企業やアポイントメントを取りやすくなるというメリットも存在したのだ。 


そこにはトップ、すなわち知事の協力が必要である。熊本県知事の蒲島郁夫さんはくまモン戦略に大いに理解を示し協力を惜しまなかった。蒲島さん自身、くまモンと一緒に吉本新喜劇に出て「コケて」みせたという。この人あってのくまモン、とでも言うべきだろうか。



ただで使えちゃうくまモン

一躍有名になったくまモンだが、使用許諾料はなんと無料。県産品の推進や県 のPRにつながる物に関しては、くまモンをタダで使うことができるのだ。


くまモンを使用する企業はくまモンの「ブランド」を無料で利用できる一方で、県としては熊本県や名物をアピールできる。まさにWin-Winの戦略と言えるだろ う。 


この「互恵的」メカニズムをうまく働かせるには、くまモン自身が高い認知度を誇り、ブランド力を持っていること、くまモンから熊本県がすぐに連想されることが必要がある。 


しかしこれはまさにチームくまモンがとってきた戦略に他ならないのだ。「ゆるキャラ」から「売るキャラ」への変換。そうこれはくまモン自身の知名度を最大限に活かしたPR戦略なのだ!



これからのくまモン

大阪と言えばたこ焼き、東京と言えばスカイツリー。同様に熊本と言えばくまモンと言える存在にまでくまモンは成長した。 


いわば、くまモンが熊本のブランドになった。しかしくまモン戦略はまだまだ終わりではない。


熊本県知事の蒲島さんも言っているように、くまモンが飽きられないようにしなければならない。話題性をいかにして繋ぎとめていくか。より国民に愛されるためにはどうしていけばいいか。常に新しい試みを追い求めていく必要があるだろう。 


くまモンを日本国内にとどめておくのはもったいない。もしくまモンが世界的に知名度のある存在になれば、もしミッキーマウスのような存在になれたなら


――熊本は世界的に有名な県になるだろう。


そう、くまモンというブランドの可能性は無限大なのだ。

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